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モノクロの世界。 優しく、残酷な者だち。 身を守るべく周りを固めれば、己の逃げ道も閉ざす事になる。 何時だって我慢できた。君の為なら。。。。。 君の為なら。。。。。それなのに。 「ダリスが動きやがった。」 シオンの一言にセイリオスの胸に鋭い痛みが走る。メイは今情報収集にダリスにシルフィスと共に行っており、帰ってくるにはまだ時間が掛る。次に来る言葉の予想はついていた。 「セイル、解ってるんだろう?」 「。。。。。」 「今行かなくても、姫さんは結局政略結婚だ。」 全ては解っている。拒否すれば大臣たちは一斉にして自分に反発するだろう。 それは問題ではなかった。最初に自分を裏切ったの国の方。大切なのは、可憐で無垢なあの少女 であり、国ではない。全ては彼女の為と思っていままで勤めていた事なのだ。しかし。。。。 「解っている。。。。暫く、一人にしてくれないか。」 シオンは無言で部屋を出た。セイリオスはどさりと椅子に身を投げ、大きく溜息を突く。 大切なのは変わらない。。。。今でも。。。。いや、昔よりも更に愛しい少女。。。。妹。 だが、国を裏切るには、セイリオスは皇太子として立派になり過ぎていた。ゆっくりと紫苑の瞳を開くと、彼は静かに立ち上がった。 「お兄様!!!!会いたかったですわ〜〜。」 無邪気に自分の胸へと飛び込む桃色の姫君。誰もが惹かれる笑顔で、自分を信頼しきって身を委ねてくる。 無知故の罪。彼女は知らないのだ。目の前にいるのは、兄ではなく、只の一人の男。。。。。 「暫く忙しかったのでね。寂しかったかい?」 「もちろんですわ!とっても会いたかったんですの〜。」 帰って来る答えは解っていたが、それでも確かめたかった。。。。これが、最後であるかもしれないから。 「ディアーナ、今日は大切な話があるのだよ。聞いてくれるね。」 真剣な兄の眼差しに、少し怪訝に思いながらも、ディアーナは素直に頷いた。セイリオスは話した。ダリスの事、 戦争の事、今の状況、彼女に与えられた宿命、そして、彼女の思い人である夢の王子様、アルムレディン・レイノルド・ダリスの事も。 まるで人形の様に瞬き一つせずにディアーナは恐ろしい程冷静に話を聞いていた。 「。。。。。。決めるのはお前だ。ディアーナ。」 気休めだと解っていても、そう付け加えるセイリオス自身どうしようもない程に傷ついていた。 「ダリスにお嫁に行けば宜しいんですのね?解りましたわ。」 「ディアーナ!??」 信じられない程に明るい声が返ってきて、セイリオスは驚愕して声を上げた。 「皆が頑張っている時に私だけ何もしないなんてできませんわ。それでなくても制約結婚は姫としての義務ですもの。どうせするなら、この国。。。大好きな皆の役に立った方が嬉しいですもの。」 にっこりと笑顔を浮かべる。その表情が、今までの無知な幼い妹の物ではない事に、セイリオスは何処となく寂しさを覚えながらも、感嘆せざるを得なかった。 「。。。。本当に立派になったね。。。もう、昔のお前からは考えられないぐらいだよ。」 「まぁ、お兄様ったら。。。私、そんなに酷かったんですの?」 少し膨れる姿が、愛らしい少女の物へと戻る。愛しさが募って、制御が利かなくなりそうになり、セイリオスは慌ててドアの方へと歩みよった。 「私はもう行くよ。仕事が残っているんでね。ディアーナ、お前の王子様を諦めさせてしまった私を、恨んでもかまわないよ。」 自嘲気味にそう言う兄の姿に、ディアーナは一瞬だけ切なくそのスミレ色の瞳を曇らせたが、直に笑顔を取り戻すと、微笑んで言った。 「お兄様を恨むなんて、そんな事できませんわ。それに、王子様は夢ですもの。愛では。。。。。。ないのですわ。」 「ディアーナ。。。。?」 「ささ、お兄様、お仕事があるんではありませんの?私、お嫁に行くなら自分の準備もありますもの、少し出て下さいまし。」 妹が放った言葉の意味を理解しようとしたセイリオスだが、ディアーナに背を押されて無理矢理部屋から出されてしまう。少し怪訝に思いつつも、セイルは 仕方なく自らの執務室に戻って行くのだった。 「。。。。愛では。。。。ないのですわ。」 扉にもたれかかるようにして小さく呟くと、ディアーナは身支度を整え、そろそろと城内を抜け出た。最後のお忍び。。。。そう解っているのは本人だけで、そんな彼女を見つけた使用人も何時ものことかと思い、誰一人として気に止める者はいなかった。 「最後のお忍びですわね。。。。ふふ。。。」 小さく笑いを漏らしてみるが、その笑みは決して本心ではなかった。歩いて歩いて。。。。無機質な人々が通る町並みを通り過ぎ、ディアーナは森の深くまでやって来ていた。 誰に会いにと言う分けでもない。只ごく自然に足が進んだのだった。彼女ならいかにも迷いそうな森の深くへと入っていく小さな少女。 (あら。。。いつの間にこんな遠くに来てしまったのかしら。。。そろそろ帰りませんとお兄様たちが心配なさいますわね。) しばらくしてそう思い、ゆっくりと身を返したその瞬間、小さな泣き声がディアーナの耳を掠めた。助けを求める微弱な。。。。猫の鳴き声。ディアーナはそっと耳を済ませて 周囲を見回した。が、一向に声の持ち主は見当たらない。怪訝に思い、もう一度見回すと、頭上から幾枚もの木の葉が舞い降りて来た。まさかと思い彼女が顔を 上げると。。。。 「。。。。。あっ!」 案の定、木の葉の間にはかすかに白い毛玉が。。。ディアーナは深々とため息をついた。 「また貴方ですの〜?。。。。。もう!どうして降りられない所に登るのかしら!」 その猫はディアーナが何日か前、公園にて助けた子猫だった。その時は助けた拍子で落ちてしまい、シルフィスに助けられたのだが。。。。 今回、落下しても助けに来る者は誰もいない。。。そしてその大木は可也の高さだった。 「にゃぁ〜。。。。」 子猫はまたか細い泣き声を上げる。その声を聞いて、ディアーナに見捨てる事など到底できなかった。ドレスの裾を軽く縛り上げると、大木に手をかけた。 王女として自慢にはならないが、木登りにはそれなりに自信がある。 「よいしょ。。。。。あまり動かないで下さいませね。」 下を見ないようにしながら、慎重に高度を上げて行く。 「もう少し。。。。ですわ。。。」 そろそろ体力も尽きて来た所だった。 「にゃぁ〜。。。。。。」 「とっ。。。。。届きましたわ!!!」 ディアーナの手が子猫のふさふさとした体毛に触れたのだった。ディアーナのそれにまるで母親にでも縋り付くかの様に絡まりつく子猫。よほど 心細かったのだろう。それを可愛く思いながら、ディアーナは小さな体を片手に抱き抱えると、慎重に木を折り始めた。 「大丈夫。。。大丈夫ですわ。。。。。」 その高さにくらくらしながら、ゆっくりゆっくりと降りる。 「後。。。ちょっとですわ。」 芝生の断面が段々とはっきりと見えてきて、ディアーナは安著の息を吐いた。。。。が、それがまずかった。右足がうっかり幹を踏み外し、そのまま。。。 「きっ。。。。。。きゃぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!!!!!!!」 ディアーナの体がまっさかさまに地上へと落下する。何も考えられなくて、瞬時に取った行動は子猫を傷つけない様にしっかりと胸に抱く事だけだった。 「うっ。。。。。いたた。。。。はっ!!猫さん、大丈夫ですの!!??」 どうやら柔らかい芝生に助けられたらしく、軽いかすり傷で済んだディアーナはゆっくりと体を起こした。慌てて、胸元を見ると、子猫はしっかりと抱きすくめられている。 どうやら無傷なようだ。ディアーナはほっと胸を撫で降ろした。 「よかったですわね。もうあんな高い所に上っちゃ駄目ですわよ。。。。私は。。。。もう助けてあげられませんのよ。」 「にゃぁ〜」 悲しそうなディアーナのその言葉の意図が理解できたのか、子猫は小さく嘶いた。 「ふふ。。。沈んでしまいましたわね。貴方も、私と一緒に連れていってしまおうかしら。そろそろ帰りましょう。遅くなってしまいますわ。。。。。っ!!」 それでも懸命に笑顔を取り戻して、ディアーナは立ち上がろうとした。。。。。が、その刹那足に流れた激痛に大きく崩れ落ちた。どうやら、落下した時に 挫いたらしい。先ほどは気づかなかったが、赤く腫れ上がっている。 「いたた。。。。。。どうしましょう。これでは動けませんわ。。。誰か。。。来るのを待つしかありませんわね。貴方は、帰っても良いんですのよ?」 そう言って、子猫を下ろしたディアーナだが、小さな動物は彼女の側を離れようとはせず、着陸すると、その侭側に座り込んだ。 「側に。。。。いてくれますの?。。。ふふ、有難うですわ。律儀な猫さんですのね。でも、そんな事をしますと、本当につれて行ってしまいますわよ?」 「にゃぁ〜」 ディアーナの言葉が判っているのかいないのか、猫は小さく鳴くだけ。 「。。。。私。。。。。ダリスにお嫁に行きますの。」 「にゃう?」 「シルフィスや、メイはもう行ってしまいましたわ。危険を帰り見ずに。。。。私だけ何もできませんでしたの。。。二人が今も頑張っているのに、何もできませんの。」 「にゃぁ。。。。。。」 大人しく、それでも一言一言、ディアーナの言葉に返事を返すように嘶く子猫。 「お二人だけではありませんわ。お兄様も、シオンも、キールにアイシュだって皆頑張ってますわ。。。。でも、私だけ何もできませんでしたの。」 「なぅ。。。。」 「でも。。。。でも、やっとお役に立てるのですわ。お嫁に行けば、時間稼ぎもできます。上手くすれば、ダリスとの戦争も止められるかもしれません物。お嫁に行くだけなんて。。。 命の危険に関わるメイやシルフィスに比べれば全然大した事なくっても。。。。それでも、私はうれしいんですわ。皆の。。。。お兄様の役に立てて。」 「。。。。。。」 子猫は鳴かなかった。その眼でディアーナの瞳を覗き込むように見つめている。不思議にも兄と同じ彩をしたその瞳にディアーナは我慢できなくなり涙を零した。 「でも。。。。どうしてでしょう。。。。何故私、こんなにも悲しいのでしょう。私、知ってますの、シルフィスとお兄様が愛し合っている事。二人共、楽しそうに 笑っていましたもの、私が嫁げば、シルフィスももうダリスに行かなくても済みますもの。そうすれば、二人は幸せになれる筈ですわ。」 止まらない涙に濡れる頬で、そこまで語るとディアーナは一瞬言葉を詰まらせた。そして、いまだに沈黙している真っ白な体をぎゅっと抱きしめた。 「違う。。。。違いますの。。。本当は。。。私、見たくないんですの。お兄様が結婚なさる所なんて。。。。見たくないんですの!!私は嫌な子ですわ、大好きなお兄様の 幸せを喜こんで上げられないなんて。。。。とても嫌な子なんですわ。だからお兄様は。。。。。。ふぇ。。。。」 終に声を上げて泣き出してしまうディアーナ。それからはもう止められなかった。後から後から涙が溢れ出てきて、ディアーナは声の限り、涙が続く限り泣き続けた。 張り裂けんばかりの心の中で叫ぶ言霊は一つだけ。 to be continued....... コメント: セイル×ディア。なんか、このCP実は可也好きですー。軽く行くつもりが続きもんかい!( ̄口 ̄;)そんなつもりはなかったんですけど。。。(^^;)取りあえず、注意点としてはシルフィス悪者にしないようにする事っすな。剃刀送られるから。(爆)ディアーナは弱そうに見えて、本当は強い子なんだと思います。そんな所が好き。自己犠牲が実は一番なさそうで一番ありそうな所も。(><@) |